ARTICLEワイン記事和訳

ボージョレな夜 17 May 2014

005.jpg以下のワインについては テイスティング・ノート 参照のこと

「それで、オフ会って何?」夫のニック(Nick)は私が先日ワインマニア達と共に大量のボージョレを楽しんだ会についての報告を読みながら尋ねた。彼はご想像の通り、私の同胞であるテイスターたちを引き寄せてやまないワインへの共生的執着やネットの掲示板に全く縁のない人物である。

この、ワイン・ページズ・ドットコムというフォーラムの常連が集まったオフ会は、パープル・ページファンのトーマス・デ・ウェン(Thomas De Waen)が企画した。彼はこの10年、ロンドンでプライベート・エクイティに携わっているベルギー人で、近年のワイン価格の高騰にうんざりしてボルドーを捨て、愛するブルゴーニュにも同じことが起こりつつあることを憂えるワインマニアである。そんなわけで彼は最近、偉大なるブルゴーニュの南端で長いこと無視されてきた赤ワインであるボージョレ、なかでもとりわけ熟成したボージョレにご執心なのだ。

彼は、当サイトでも何度も取り上げたように、ボージョレが長い間不当に低い価格で取引されてきたことを憂慮している。ボージョレの名は、短命で低品質の工業化されすぎたボージョレ・ヌーボーによって汚されてきたのだが、それはこの産地がヌーボーに長期間依存してきた結果とも言える。現在この地区のリーダーたちは出荷を急ぐのではなく丁寧に醸造した真剣なワインを作っている。そしてデ・ウェンは我々ワイン愛好者仲間に従来の捉え方とは正反対のこと、すなわちボージョレは十分に瓶熟に耐えることを示したかったのだ。しかも私たちがテイスティングしたもののほとんどは市販価格が20ポンド以下というものだった。

酒量が相当なものになるディナーの前に、クラーケンウェルにあるワイン志向のレストランの上にある個室でデ・ウェンは私にこう言った。「実際、適切に熟成されたボージョレをみつけるのは大変なんだよ。安くても高くても、すぐ見つかるところにはないんだ。取り扱っているのはだいたいフランスの小さなワイン商だから、わざわざイギリスまで送ってくれる気もないし。悪夢だね。実際、僕はお気に入りのフィリップ・ジャンボン(Philippe Jambon)のワインを一度も買えたためしがないんだから。」そのため彼は自らのセラーのコレクションをひっくり返し、今回のデモンストレーションに最適なボトルを探したというのだ。ちなみにデ・ウェンは、熟成ボージョレに対する彼の情熱に共感する人には、パリにあるアラン・ドゥトゥルニエ(Alain Dutournier)の二つ星レストラン、キャレ・デ・フォイヨン(Carré des Feuillants)を訪れて欲しいそうだ。ここのワインリストには現在、1989年までさかのぼる10の素晴らしい熟成ボージョレが60から70ユーロ程度で載っているらしい。

当日のワインはほとんどデ・ウェンが提供したものだったが、一部はワインのプロや一般消費者の入り混じる当日の参加者から提供された。その中の1人が彼の叔父のセラーから持ってきたという1本はすべてのワインの中で最も印象に残っている。それは ネゴシアンであるゲスバイラー(Geisweiler)による1970年のACボージョレだった。

ACボージョレといえば法律上はもっとも格下である。ボージョレ・ヴィラージュはその一つ上。最上のワインのほとんどはボージョレ・クリュから生産される。ボディと熟成能力をざっと上から並べると下記のとおりである:シルーブル、サンタムール、フルーリー、レニエ、ブルイィ、コート・ド・ブルイィ、ジュリエナス、シェナス、モルゴン、ムーラン・ア・ヴァン。これらの名前はラベルに表記され、ボージョレという記載を全く必要としない(シャンベルタンのラベルにわざわざ「ブルゴーニュのシャンベルタン」と書かないのと同じである)

さらに、瓶内の空気と液体の割合を考慮すると、ハーフボトルのワインは通常、フルボトルのワインよりはるかに早く熟成することになる。また、大手のネゴシアンで瓶詰めされたものは一般的に最も信頼性が低いとされている。ところがこのワインは、コルクがボロボロでデカンタージュを必要としたにもかかわらず十分に楽しめ、完全にフレッシュな状態だった。ほんの少し甘いがまだしっかりとしており、ボージョレのトレードマークである生き生きとした果実味と食欲をそそる酸のコンビネーションが感じられた―たとえそれがどの地域のワインであったとしても。当時ゲスバイラーで働いていたアンソニー・ハンソン(Anthony Hanson)MWによると、それはボージョレ以外の地域で作られたものの可能性があるのだそうだ。

我々はまずはフォイヤール(Foillard)のモルゴン2009からスタートし、1999、古き佳きブルゴーニュの栄光である素晴らしいヴィンテージであるにもかかわらずデ・ウェンが最近20ユーロで入手したボトルまでさかのぼってみた。

次にトーマスの個人的なお気に入りという珍しいボトルが何本か登場した。フィリップ・ジャンボンのル・バルタイユ(Les Baltailles)2005はめずらしいことにタンクで3年、樽で3年熟成されたものである。これは非常に「自然な」(添加物を最小限にした)ワインで他のボージョレとは全く異なっていたが、明らかなスパイスの余韻と生き生きした味わいを感じられた。 ジュール・デジャニー(Jules Desjourneys)のリナルディ(L'Interdit) は主に2008で、わずかに2009もあったが、ボージョレの主流から大きく外れていたためAOC認定を逃している。これは私には少し酸が強すぎた。

次の組み合わせは高く評価されているコート・ド・ブルイィのシャトー・ティヴァン(Château Thivin)で、探すのもそれほど困難ではなく優れたボージョレとしてもわかりやすい。スペシャル・キュヴェであるシャペル(Chapelle)と古木のキュヴェ・ザッカリー (Cuvée Zaccharie)もあったが、最も良かったのは今でも一般で入手可能な普通の2007だった。スペシャル・キュヴェは単にまだ熟成が必要だったのだと思われる。

素晴らしい作り手であるJ・M・ブールゴー(J M Burgaud)のコート・ド・ピィ・モルゴンの2005と2006は、翌日のトーマスのオンラインレポートを引用すると「それほどでもなかった」。いずれにしてもこの時点ではどちらもまだ硬かった。ただ、これがヴィンテージのせいではないのは、名は体を表すデヴィーニュ(Desvignes)の提供したデイオション(Diochon)のムーラン・ア・ヴァン2005とモルゴン2006の素晴らしさが証明した。

明らかにダメだと思われるボトルもあったが、ブラックフェイス・ラムと新鮮な豆などの美味しいイギリス料理と共に楽しめたこのイベントは、全体的にはデ・ウェンの「ボージョレは瓶熟成する」こと、「オールド・ボージョレは今世界で最も買うべきワインである」ことを証明する試みとして成功したと言えるだろう。

参加者の一人は翌朝こう書き込んでいる。「なんてボージョレな夜だったんだ!面白くて入手困難なたくさんのワインを用意してくれたトーマス、ありがとう! オフ会に求めるすべてがそこにあったよ。めちゃくちゃスゴイワインがあったかって?それはないけど、楽しめたかって?もちろんさ!記憶があいまいでどれがどれだったか覚えてないのを除いてはね」

デ・ウェンのはこう答えている「低い地位に甘んじているワインの方がみんなによりリラックスした楽しい時間を提供できると分かったよ。こんなににぎやかなオフ会は初めてだったからね」

気になったワイン一覧
ヴィンテージ順:在庫についてはワインサーチャー(wine-searcher.com)を検索のこと

Foillard, Morgon, Côte de Py 2009 Morgon
Ch Thivin 2007 Côte de Brouilly
Georges Descombes, Côte de Py 2007 Morgon
Louis-Claude Desvignes 2006 Morgon
Diochon, Vieilles Vignes 2005 Moulin-à-Vent
Philippe Jambon, Les Baltailles 2005 Vin de France
Hubert Lapierre 2005 Moulin-à-Vent
Ch Thivin, La Chapelle 2005 Côte de Brouilly
Dom Diochon 2005 Moulin-à-Vent
Foillard, Morgon, Côte de Py 1999 Morgon

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