金曜の午後に発表された5名の新マスター・オブ・ワイン(MW)に心からの賛辞を送りたい。この5名の書いたディサーテーション(dissertation※)が試験管をようやく満足させることができたのだ。我々のチームのリチャード・ヘミング(Richard Hemming)が現在連載57回目となるMW研修生日記に報告してくれているように、このディサーテーションはリサーチ・ペーパー(research paper※)に変わることとなり、そのいくつかはこの夏初めて提出されることになる。新MWは全員がイギリスに拠点を持つが、そのうちイギリス生まれなのは2名のみである。(※訳注;どちらも日本語では論文という訳語になるためカタカナ表記しています)
ジャンシス・ロビンソン・ドットコムに最も近しい新MWはパトリック・シュミット(Patrick Schmitt)MWで、業界紙ザ・ドリンクス・ビジネスの編集長であり、毎年同誌が選ぶ各賞の審査委員長でもある。彼はオックスフォードで地理を学び、グリニッジ大学で景観建築を学んだ後、園芸業界雑誌での仕事からジャーナリズムの道へ入った。MWコースで勉強漬けの日々を送りながら(幼い子供のいる身では大変なことである)、2年連続でブリティッシュ・ソサイエティ・オブ・マガジン・エディターズの専門誌部門で年間最優秀編集者の最終選考に残った人物だ。
ロンドンを拠点にしているイタリア系カナダ人のミシェル・チェルッティ・コウォール(Michelle Cherutti-Kowal)MW は尊敬を集めるワイン講師であり、WSETで2004年から教鞭をとっている。彼女はワインの講師であるとともに本の著者でもあり、インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティションの首席審査員で、数々の国際審査会でも審査員を務める。
ジェニファー・ドチェティ(Jennifer Docherty)MWもまたロンドンに拠点を置くカナダ人だ。彼女はニューヨークでファッションデザインを学ぶため18歳で地元バンクーバーを離れたが、2005年からはロンドンに拠点を移した。美食への愛が彼女をWSETへ導き、そのキャリアを変えることとなった。現在はリバティ・ワインズ(Liberty Wines)でバイヤーをしており、以前は教育とセールスも担当していた。英語、北京語、フランス語を話す。
ブリット・ビクトリア・ステファンス・クラークソン(Brit Victoria Stephens-Clarkson)MWもかつてリバティ・ワインズに勤務しており、現在は同じくロンドンにあるアトラス・ファイン・ワインズ(Atlas Fine Wines)の購買部長である。彼女がワイン業界に入ったのは2000年で、エペルネにある名門シャンパーニュハウスに勤務していた。またレイスウェイト(Laithwaite)のダイレクトワインズ(Direct Wines)でバイヤーの経験もある。彼女も複数言語を話し、自身のバイヤーとしての経験を補完すべくワイン産地へ赴き、ワインを作り、様々なワイン作りのプロジェクトを監督することに多くの時間を費やした。
唯一イギリスの首都から離れた場所に拠点を置く新しいMWはオーストラリア人のマイルス・コリッシュ(Miles Corish)MWだ。彼は現在ランカシャー北部にある卸・小売業、ボウランド・フォレスト・ヴィントナーズ(Bowland Forest Vintners)のマネージング・ディレクターである。彼はもともとプロのクリケット選手としてシドニーからイギリスに移住した。WSETの講師であり、ワイン品評会の審査員であり、オン・トレードのコンサルタントも行う。少しでも時間を見つけてはニューサウスウェールズのハンターヴァレーに戻り、自身のブランドでワインを作る。
これでMWは全部で323名となり、24か国で活動中だ。今回の新MWが加わったことでその人数は現在のMW研修生の数を上回ったことになる。現在MW志願者は321名、38ヵ国でMW研修プログラムに参加している。
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