ARTICLEワイン記事和訳 本記事は著者であるジャンシス・ロビンソンMWから承諾を得て、
Jancisrobinson.com 掲載の無料記事を翻訳したものです。

284.jpg以下の32本の辛口白ワインはこれからの季節にお勧めのものだ。この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズに掲載されている。また、土曜日の無料記事、The world’s great Chardonnaysなども参照のこと。

今週から4回にわたりお勧めを掲載していく。クリスマス前までに注文が間に合うだろう。以下の白ワインは価格の安い順に並べてある。リー&サンデマンのような小売店の多くは混載で12本購入するとさらにディスカウントがあることもあるし、ドメーヌ・ディレクトのような小売店は最低でも12本の発注が必要となることに注意して欲しい。

La Colinas del Ebro Garnatxa Blanca 2017 Terra Alta, Spain
£9.25 Stone, Vine & Sun
美しいラベルのフルボディのカタルーニャのワインで個性に満ち溢れ、余韻のグリップが心地よい。ジビエなどと十分に合わせられるほど豊潤な味わいだ。真のお値打ち品。14%

Vignerons Ardéchois, Grès du Trias Viognier 2017 Coteaux de l’Ardèche, France
£9.95 The Wine Society. £11.50 Yapp Bros
コンドリューで有名な品種は川を下りローヌ渓谷の右岸、アルデシュの砂質土壌をも生き抜いているようだ。ダスティでスモーキーな香りだがその下にスパイシーな果実が見え隠れする。多くの単一品種ヴィオニエと違い、芳しい以上の香りだ。14%

von Kesselstatt, Niedermenniger Riesling Kabinett 2016 Saar, Germany
£10.50 The Wine Society
味わいは最高、アルコールは最低なワイン探索をするうえで世界最良の産地で作られた羽のように軽いワイン。愛らしい果実のピュアさ。輝かしいフレッシュさと値ごろ感。ザールで最も有名な場所で作られているわけではないが、フォン・ケッセルシュタットをこの上ない冷静さで経営していた故Annegret Reh-Gartner の素晴らしい贈り物だ。ティータイムに飲んでもいいだろう。 9.5%

Corte Mainente, Cengelle 2017 Soave, Italy
£10.95 Stone, Vine & Sun
そうだ、これこそ良いソアヴェだ。このかすかにレモンぽいワインはチャーミングでフレッシュなアペリティフにぴったりだ。 12.5%

Ch Beaumont, Les Perrières 2017 Blaye Côtes de Bordeaux, France
£11.95 Lea & Sandeman
ソーヴィニョン・ブランとセミヨンが三つ揃いのスーツで決めている。あるいはこの場合はスマートなオーク樽で決めているとでも言おうか。スモーキーな香りに刺激的で個性が加わる。急いで飲むことはないだろう。遥かに安すぎる価格設定だ。 14%

Vina Laguna, Festigia Malvasia 2016 Istria, Croatia
£11.95 Lea & Sandeman
ヨーロッパで最も息をのむような景色が見られる海岸の北端から作られる。マルヴァジアは地元の特別なブドウだが、豊かさと精密さという最高のコンビネーションをもたらす。軽いピーチの香りと、素晴らしい持続性だが笛を吹くようにクリーンですがすがしい。食べ物なしでもありでも楽しめる。 13.5%

Monte del Frà, Ca’ del Magro, Custoza Superiore 2016Veneto, Italy
£12.45 Field and Fawcett
現在ベリーズから提供されているこれ以上ないほど選りすぐられたイタリアの辛口白のうちの1本。ビアンコ・ディ・クストーザの締まりのない味わいを思い出す向きもあろうが、これは分厚く豊かでスパイスの香りに満ちている。素晴らしい果実とグリップ。13%

Karma do Sil, Maga Godello 2017 Ribeira Sacra, Spain
£13.95 Lea & Sandeman
地元の人以外には全く知られていない、シル川のほとんど不可能と思われるほどの急斜面で大胆なブドウ栽培が行われていた時代があった。世界がこの地で栽培されるゴーデリョ(とメンシア)の品質を見出したことでその時代は終わりを迎えた。豊満だが骨格のしっかりした辛口の白ワインでスペインというよりはブルゴーニュのようだ。素晴らしいお値打ち品。13%

De Martino, Legado Chardonnay 2017 Limarí Valley, Chile
£13.95 Berry Bros & Rudd
話にならないほど上質なブルゴーニュ白のコピーをチリの太平洋から冷却効果を得られる比較的新しい地域で作り上げた。その常に革新的で努力家の家族経営のワイナリーは刺激を求めて世界を旅する非常に才能に溢れたワインメーカーにも恵まれている。13.5%

Dom Lyrarakis, Plytó 2017 Crete, Greece
£13.95 Berry Bros & Rudd
わが道を行くワイン生産一族のもう一つの例で、今回はワイン業界がルネッサンスを迎えるほど円熟したギリシャの島のものだ。固有品種は彼らの特技であり、一風変わったフェンネルの香りがするDafniは13.25ポンド、そしてこのアロマティックで花の香りがしつつもがっしりしたPlytóもだ。どちらもお値打ち。 13%

Haskell, Dombeya Chardonnay 2015 Stellenbosch, South Africa
£14.95 Lea & Sandeman
南アフリカのシャルドネは一般的に価格が低すぎるものだが、これは卓越したワインメーカー、Rianie Strydom による一品で、数年経過しているもののまだ輝きは失われていない。 ブルゴーニュを鑑みると馬鹿々々しいほどに安い価格がつけられている。スモーキーな余韻は生き生きした一筋の緑とマジパンの香りでさらに豊潤さを増す。13%

Dom Cordier, Clos du Four 2016 Mâcon-Milly-Lamartine, Burgundy, France
£14.95 The Wine Society
Christophe Cordierは方針を変え、最近は非常に早く収穫をする。ワイン・バイヤーであるToby Morrhallが主張するには「Milly-Lamartineは標高が高く冷涼なので希薄にならずにフレッシュで繊細なのです。世界の温暖化が進んでいることを念頭におくべきです!」とのことだ。このワインは確かに緊張感があり生き生きとして、非常に魅力的なサテンのような質感だ。だが、Haskellとは異なり、コート・ドールの白と間違えられることはないだろう。 13%

Begude, Étoile Chardonnay 2017 Limoux, France
£14.99 Vinceremos
2018 はリムーの生産者にとって厳しい年だったが、この標高の高い最高の区画のブドウをブレンドした樽のかかったワインはこれ以上ないほど信頼できるラングドック南西部の生産者のものだ。切れが良く、個性をしっかりと持ちバランスが素晴らしい。ブルゴーニュとは感じないが明らかにフランスのものであり、ほのかにオレンジ・ピールを感じる。アタックはきわめて豊潤で、まさに今飲み頃。14%

Akrathos Assyrtiko 2016 Halkidiki, Greece
£14 House of Wine, £15 The Daily Drinker
マケドニアのギリシャ領で作られる非常にバランスの取れたワインのファースト・ヴィンテージで、サントリーニ島と直結して考えられがちな最高品質の品種を使っている。これ以上ないほど完成されて、満足感が得られる。しっかりした果実の核にクリスタルのような骨格がまとわりつく。素晴らしいアペリティフにもなりそうだが、食事(脂の乗った魚?)と合わせても十分な抽出感だ。まったくもって美味しい。平均的なサントリーニのアシルティコよりやや重い。

Zanut, Rebula 2015 Goriska Brda, Slovenia
£15.50 Stone, Vine & Sun
スロヴェニアのワイン、特にスロヴェニアの白は彼らの消費のおかげで優れた秘宝と言える。典型的には非常にピュアな品種特性を表現する。リボラ・ジアッラとしてイタリア国境に近いフリウリでは知られるレブラという品種がこの地の特産だ。この1本は青々とした木の発育が感じられるものの心地よいほどにデリケートだ。12.5%

Dom Jean Teiller 2017 Menetou-Salon, Loire, France
£15.95 Yapp Bros
サンセールやプイィ・フュメといったアペラシオン名がつけられたロワールのサントルで作られるソーヴィニョン・ブランは退屈な品質のものがあまりに多い一方で、高品質なものは非常に高価であるのが常だ。その価格差をその郊外にあるメヌトゥー・サロンで作られたこんなに素晴らしい有機栽培のワインと分け合って欲しいものだ。ロワールのソーヴィニヨン・ブランに見られる黒スグリの葉の香りが口いっぱいに広がる。非常に印象的だ。甘すぎもせず、酸が高すぎもしない。ここの所有者はニュージーランドで1年を過ごしており、そのことは明らかにこの果実感の高さを説明できるだろうが、けしてマールボロのソーヴィニヨンに似ているわけではない。13%

Sybille Kuntz Riesling trocken 2016 Mosel, Germany
£16.63 Uncharted Wines, also Robert Rolls
モーゼルの急斜面で力に満ちたSybille Kuntがビオデナミで作るこの辛口ワインには天高く舞い上がる、輝かしく凝縮感のある果実が感じられる。食事有りでもなしでも楽しめる。スモーク・サーモンとの相性は素晴らしいに違いない。12%

Rheingau Riesling, Selected By Eva Fricke 2016 Rheingau, Germany
£16.95 Berry Bros & Rudd
Eva Frickeはラインガウの新星であり、短期間で世界的な名声を確立した人物だが、彼女の拠点はけして有名とは言えないLorchの村にある。柑橘の皮の香り、辛口でミディアム・ボディのワインはある意味ドイツ北部で一般的になっている辛口のリースリングの典型だが、Evaがエステイト・ワインから一歩踏み出した足跡が見て取れる。12%

Luisin, Vezza d’Alba Arneis 2016 Roero, Piemonte, Italy
£17.15 Berry Bros & Rudd
アルネイスはバローロやバルバレスコの畑でネッビオーロと共に植えられていたが、1980年代には姿を消し、今は近隣、ロエロの名産だ。かすかに洋ナシのような香りがするが、この特別に生き生きとした1本は活力と実体を伴い、余韻に力強さを感じる。素晴らしく、そしてどんな側面から見ても本格的に作り上げられたワインだ。安くはないが価格の価値ははるかに上回る。本格的なコースの最初の1本に。13.5%

Trimbach Réserve Riesling 2015 Alsace, France
£18 The Wine Society
Jean Trimbach の言うところの「比類ない」ヴィンテージの完全にクラシックなスタイル。アルザスのリースリングの王による通常のRiesling 2015ももちろん素晴らしいがこの2本は少なくとも10年は熟成が可能だ。樹齢50年に至る有機栽培されたブドウから作られ、彼らの最高品であるClos Ste Hune Rieslingと同じ方法で栽培されているブドウのおかげだ。わずかな残糖は非常に高い酸のおかげで影を潜めている。壮大だ。スモーク・サーモンとは抜群の相性だろう。13.5%

Dominique Cornin 2015 Mâcon-Fuissé, Burgundy, France
£18.90 Domaine Direct
期待以上の価値をもたらす南ブルゴーニュのもう1本がこちら。わずかに還元的な香り。口いっぱいに広がるが、けして重すぎない果実。余韻の終盤にしっかりとした骨格を感じるが味わいとしては十分に鮮やかな果実味。非常に生き生きとして、間違いなく徹頭徹尾優れたワイン。13%

René Lequin-Colin, Back to the Roots Chardonnay 2016 Bourgogne, France
£18.95 Stone, Vine & Sun
完全な辛口で果実の甘みを感じない、古典的なブルゴーニュとして考えればコート・ドールのワインとしては良心的な値付け。生き生きとして透明感がある。 12.5%

Rafael Palacios, Louro do Bolo 2017 Valdeorras, Spain
£19.95 Berry Bros & Rudd, Vin Cognito
白のブルゴーニュと言えば、ピュリニーの外にあるピュリニーがこれだ。ガリシアの偉大なゴーデリョという品種とスレートの土壌が(才能あるRafa Palaciosのことは言うに及ばずだが)この驚きをもたらしてくれる。なんというフレッシュ感。ミネラルの骨格は明らかにその方向性を示す。この入門編のワインはそのトップワインであるAs Sortes の初期の数ヴィンテージと同じぐらい良い。国際的な基準でもこの上ないお値打ち品だ。14%

Olivier Leflaive, Bourgogne Oncle Vincent 2016 Bourgogne, France
£20 The Wine Society
ピュリニー・モンラッシェのネゴシアン、オリヴィエ・ルフレーヴの叔父 Vincent は偉大なルフレーヴ家のドメーヌ・ルフレーヴにおいて有名な貢献者だった。このワインはオリヴィエの、ピュリニーとの境にあるブルゴーニュとして格付けされている畑の最も古いブドウで作られた。非常に尊敬に値するものであり、ワインに伴う物語も良い。13%

Dom Guillemot-Michel, Quintaine 2016 Viré-Clessé, Burgundy, France
£21 The Wine Society
このワインはマコンの最も暖かい地域で作られるもので、Jean Thévenet のワインを思い出さずにはいられない。豊潤で豊かでありながら、爽やかな緊張感を伴っている。何層にも重なって黄金のしずく、セイヨウスイカズラ、花が生き生きと感じられる。おそらく長期熟成には向かないだろうが、喜びという意味では想像以上の価値を与えてくれる。余韻が長い。13%

Hoddles Creek Chardonnay 2016 Yarra Valley, Australia
£21.95 Stone, Vine & Sun
オーストラリアがシャルドネの新しい才能を開花させた証がこのワインだ。けして強すぎず、かといって厳格すぎず、ただひたすらちょうどよい。最初は強く豊潤に感じるが余韻は繊細で酸が生き生きとしている。白のブルゴーニュに対する挑戦者と言えよう!非常にクリーンでありながら深遠だ。余韻に感じる力強さもうなずける。 13.9%

Dom Borgeot, La Chaponnière 2016 Rully, Burgundy, France
£22 Tanners
コート・ドールの南にあるコート・シャロネーズは柔軟性が高いことを証明する一本だ。非常にアロマティックで熟した果実の塊に圧倒されつつも酸は非常に切れがいい。一筋のレモンの香りが満足感を誘い、けして田舎臭くはない。素晴らしいバランス。余韻も長い。13%

Mullineux, Old Vines White 2017 Swartland, South Africa
£23.25 Berry Bros & Rudd
私はAndrea Mullineuxの作るワインのどのヴィンテージにもがっかりさせられたことはない。スワートランドにある古木、主にシュナンブランから作られる注目の、そして長期熟成可能な樽熟成したブレンドだ。この品格。もちろん熟成も可能だ。13.5%

Savage, White 2017 Western Cape, South Africa
£30 The Good Wine Shop, Chiswick and Kew
南アフリカで求心力と才能に溢れる新世代のワインメーカーによるもう一つの素晴らしい白のブレンド。これはソーヴィニョン・ブラン主体で、これ以上ないほど緊張感が高く、古樽で長期熟成されている。壮大な味わいの広がりを感じられるように作られている。14%

Ebner-Ebenauer, Alte Reben Grüner Veltliner 2017 Niederrosterreich, Austria
£32 Roberson
目を見張るほど緊張感のあるこのワインは樹齢60年のオーストリアの記念樹ともいえるブドウから作られる。非常に熟した状態で収穫し、完全な辛口まで発酵させる。13%

Stéphane Ogier, Les Vieilles Vignes de Jacques Vernay 2016 Condrieu, Rhône, France
£39 Lay & Wheeler
円熟さと繊細さの両方を表現するように作られていて、印象的だ。他の有名な2016コンドリューとは違うが、アルコールはたったの13%だ。

Dom Henri Germain 2015 Meursault, Burgundy, France
£45.60 Domaine Direct
軽やかでむしろ魅力的な、マッチを擦った時の香りが最初に感じられる。豪華な白のブルゴーニュでありながら通常ではありえない親しみやすさを感じるのは果実味とフレッシュさのバランスが良いためだろうか。ただしことさら長期熟成ができるほどの凝縮感はない。早い段階で飲むには偉大なワインであり、クリーンだ。13.5%

完全なテイスティング・ノートはデータベースを参照のこと。上記以外の取扱業者はWine-Searcher.com参照。

来週は赤ワイン。

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