ARTICLEワイン記事和訳

ワインの節約術 12 Mar 2016

161.jpgこの記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズに掲載されている。

中身が伴わないのに価格が高いワインに思いをはせるのは難しいことではないが、私はより楽しい話題、すなわち常に中身に対して安い価格が付けられているワインについて深く論じたいと思う。

ボルドーほど価格と品質の関係がわかりやすい地域がない、という点に異論はない。1級シャトーは高級ブランドとしての地位を確立することに成功し、我々のようなワイン・ライターがテイスティングする中で最も濃厚な製品を生み出す。だが真に値打ちのあるワインはその正反対の領域、すなわちいわゆるプティ・シャトーと呼ばれる無名のシャトーにあると言える。彼らはそれほど偉大なテロワールに恵まれているわけではないが(格付けシャトーとの違いや程度は多くの消費者が考えているよりもはるかに流動的ではあるものの)、プティ・シャトーのオーナーは自分たちよりはるかに優位な場所に立つ同業者と同じだけの努力を自分たちが瓶に詰める液体の品質を最高に高めるために払っているのだ。

ボルドーのシャトーの序列の中で頂点と底辺にあるシャトー間の品質の違いは非常に出来が良く、ブドウが成熟した2015、2010、2009のようなビンテージでは非常にわかりにくい。このような年には良いワインを作るのに最高のテロワールは必ずしも必要ではないため、個人的には2015のいわゆるクリュ・ブルジョワと呼ばれるものに特に注目している。

フランスは掘り出し物を過剰なほどに持っていると言える。かつては最も効果的な合理化が南部のラングドックで行われ、品質が最低レベルの多くの畑は引き抜かれ、その代わり心強いほどの数生き残った畑は今特にその土地の個性を生かした非常に面白いワインを生み出している。

丘の上の方ではテロワールはどこよりも好都合で、シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルのブレンドはいつもそれを雄弁に物語る。だがラングドックは高品質のワインづくりの実績がほとんどなかったため、価格は長い歴史をもつ地域なら得られただろうそれの半分にも満たないことが多い。また、ほとんどすべてのワイナリーは小規模なため、その存在と名声を世界のマーケットに知らしめることができていない。これは彼らにとっては残念なことだが、私たちワイン愛好家にとってはチャンスである。

常に品質に見合わず安い価格が付けられているのはミュスカデとボージョレで、どちらもかつては今よりももっと人気のあったフランスの定番だ。ボージョレは若い世代の生産者によってスタイルの上で驚くべき大きな転換を遂げた地域であると言える。彼らは長持ちのしない古いボージョレ・ヌーボーのスタイルではなく、ブルゴーニュ赤のイメージでワインを作るようになってきたのだ。

ミュスカデに関して言えば価格は生産者から見れば深刻なほど下がっており、何年も瓶熟成した高品質なものですらザ・ワイン・ソサイエティ(The Wine Society)で11ポンドで入手できる。実際ロワールは全般的に真に価値のあるものを探す向きには絶好の標的であり、とりわけ商業的に作られたものを除くすべての色のワインが非常によく熟成する。

ロワールのフレッシュでデリケートなワインは意気地なしのワインだと考える向きにはコート・デュ・ローヌという選択肢がある。ここは日照とスパイシーなブドウに事欠かないため、高価な樽の力を借りなくてもそれ自体が非常に力強い骨格をもつアペラシオンである(これはラングドックにも言えることだ)。ここのワインはほとんどが赤ワインで、舌鼓をうつほど美味しいが、白も最近は非常に面白くさわやかなものが出てきている。コート・デュ・ローヌのほとんどは全く高価ではない。唯一の例外は類まれなシャトーヌフ・デュ・パプのシャトー・ラヤスによるシャトー・ド・フォンサレットだ。先日ブラインドで提供されたフォンサレットのピュアなシラー1990はかの有名なエルミタージュ・ル・シャペル1990と比較して遜色なかった。

だが、もし品質に比較して低価格である白ワインの包括的な推薦をと聞かれたら、私は常に南アフリカを挙げる。これは最近のランドの下落より前からである。実質的にすべての南アフリカのワインは世界のどこよりもコストが安い。赤はかなり洗練されてきているが私は長いこと白のファンである。爽快なソーヴィニヨン・ブラン、エレガントなシャルドネ、ケープの得意とする品種で幅広いスタイルを持つシュナン・ブランどれをとっても、だ。また最近は南アフリカの古樹から生み出される独特な面白いブレンドを目にする機会がどんどん増えている。

南アフリカの赤ワイン版と言えば長いことチリだった。何年もの間チリの赤と言えばあまりにもわかりやすいものだった。すなわち熟れた単調なメルローやカベルネでそこに収量の多少に比例して青臭さが加わるというものだ。だが現在はチリのワインづくりにも革命が起きており、赤ワイン白ワイン共そのスタイルや味わいは劇的に、しかも価格の上昇を伴わずに幅が広がっている。そのような面白いワインを生み出すブドウの多くはかつて時代遅れだった南部の地域、とくにマウレやイタタに植えられているものだ。そこではブドウの価格は低く、地元の農家にとっては低すぎると言ってもよい。しかしそこでは多くの軽やかな赤とマスカットから作られる興味深い辛口の白が作られている。また太平洋の冷涼な影響を強く受ける畑でチリは非常によいソーヴィニヨン・ブランとシャルドネを作ることができるようになってきた。アメリカ人がまだ上質なチリや南アフリカのワインを発見していないという事実のおかげで、生産者にとっては悲しいことだが価格が低く抑えられているのだ。

品質に比べて価格が低すぎるワインのわかりやすい例がもう一つ、流行遅れのシェリーだ。イギリスのスーパーマーケットのPBのシェリーの価格は犯罪と言えるほど低く、そのレベルで存続できるとは思えないほどだ。その一番低いレンジの商品は勧めないが、スーパーマーケットのPBの上級レンジのシェリーのほとんどは劇的にその品質と比較して価格が低い。特にドライ・アモンティリャードやドライ・オロロソ、パロ・コルタードと表記されるナッツの香りの強いものがお薦めだ。

また、品質に比べて低価格なドイツ・ワインを見つけるのも非常に容易だ。新進気鋭の若手生産者で、(まだ?)トップ生産者の組合で誉れ高いVDPに属していないものを探すことだ。最近はジェネレーション・リースリング(Generation Riesling)などの多くの団体があり、これは野心的なワインづくりと比較的低い価格という素晴らしい組み合わせへの目印となるだろう。

イタリアなら全体的にあまり注目を浴びていないオルヴィエト、ヴェルデッキオなどの白やチロ、キャンティ・クラシコ、ドルチェット・ディ・ドリアーニ、モンテプルチアーノ・ダブルッゾ、ヴァルポリチェッラなどの赤が狙い目だろう。

ポルトガルのワインは一般に価格が低い。なぜなら今ではその品質は素晴らしいにも関わらず歴史的に世界のワイン業界がこの国を安いワインの国として位置付けてきたからだ。スペインもまた、有名なプリオラト、リベラ・デル・デュエロ、リオハなどを避ければ安いワインを多く見つけることができる。

お買い得なワインを見つけることはあなたが思っているより簡単かもしれない。

これらのワインのテイスティングノートは125,000以上のワイン・レビューのデータベースで見ることができる。


特にお買い得なワインたち

Comte Leloup du Château de Chasseloir, Cuvée des Ceps Centenaires 2010 Muscadet Sèvre-et-Maine (£8.75 The Wine Society)

A A Badenhorst, Secateurs Chenin Blanc 2014 South Africa (£10.80ish Bottle Apostle, Stone Vine & Sun, SA Wines Online, Quaff and others)

Le Clos du Château L'Oiselinière 2009 Muscadet Sèvre-et-Maine (£10.95 The Wine Society)

Emilio Lustau Dry Oloroso NV Sherry (£6 a half-bottle Morrisons)


Clos des Fous, Locura 1 Chardonnay 2012 Cachapoal, Chile (£13.50 Eclectic Tastes)


Braunewell, Essenheimer Kalkstein Riesling 2013 Rheinhessen (£15.95 Lea & Sandeman)


Reds

Miguel Torres, Reserva de Pueblo 2013 Itata, Chile (£9.75 Noel Young)

Quinta Nova Colheita 2011 Douro (£22 a magnum The Wine Society)

Ch Greysac 2008 Médoc (£11.99 Majestic, £9.99 if any six bottles are bought)


Domaine des Terres Dorées, A L'Ancien 2013 Beaujolais (£12.55 Black Dog Wines)

Ch d'Or et de Gueules, Trassegum 2011 Costières de Nîmes (£14.99, reduced to £12.99 in March, The Real Wine Co)

Dani Landi, Las Uvas de la Ira 2013 Méntrida, Spain (£23 The Sampler or £19.86 mail order from Cru World Wine)

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