ARTICLEワイン記事和訳 本記事は著者であるジャンシス・ロビンソンMWから承諾を得て、
Jancisrobinson.com 掲載の無料記事を翻訳したものです。

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昨年ジェフリー・ロバーツ賞の運営を引き継いだヴィントナーズは彼らにとって初の受賞者を発表した。2014年の受賞者はマスター・オブ・ワイン協会の教育マネージャーであるピーター・チズマディア・ホーニッヒ(Peter Csizmadia-Honigh)である(今週はまるでMWウィークね・・・)。

彼は4000ポンドの旅行奨学金をインド訪問に使う予定で、世界初のインドワインに関する本の出版を視野に入れている。「本を出版することで、ここ20年この亜大陸に巻き起こった大きな変化に消費者と業界の注目を集めたい。」と彼は語る。

ハンガリー人の彼は2005年イギリスに移住し、2011年にWSETのDiplomaを卒業した。2010年から個人的に南アフリカ、チリ、カリフォルニア、オーストラリアなどニューワールドのワイン産地での経験を積んだが、彼は「インドこそがこれまで訪問した中で最も独特なニューワールドの国だと思います。その亜熱帯気候のため栽培も醸造も全く違った次元にあり、その逆境の中でも勢いを失わないこの国は投資家や国際的な評論家の注目を集め始めているのです。」と言う。この本はソムリエ・インディア誌の出版者であるレヴァ・シン(Reva Singh)と共同で出版する予定だそうだ。

彼はこれまでにイギリスのワイン業界誌ハーパーズのウェブサイトにはチリワインについて、デカンター誌や多くの様々なハンガリーの出版物にハンガリーワインについて、ドリンクス・ビジネス誌やソムリエ・インディア誌にはインドワインについて記事を書いている。

2014年度の応募は11か国、遠くはメキシコやフィリピンから寄せられた。

審査員の1人、ビベンダム・ワインのウィリー・リーバスは「ピーターの提案書はジェフリー・ロバーツをとても喜ばせたに違いない。そこにはニューワールド、今回の場合はインドの可能性を大きく引き出し、好奇心の強い聞き手にその奇跡的な進化を遂げているワインを発見するきっかけを作ったからね。」と語った。もう一人の審査員であり1992年にヴィントナーズの奨学生に選ばれたスーザン・マクレイス(Susan McCraith)MWはこう述べている。「インドのワイン産地を調査し、そのガイドブックを書こうというアイデアは独創的でタイムリーだと思うわ。だって私たちは品質の良いワインがあるとは知っているけれど、この有望な国についてほとんど何も知らないんだもの。」ヴィントナーズの次の責任者となるルパート・クレヴェリー(Rupert Clevely)は「ピーターはインドを視野に入れることでこれまでのニューワールドという既成概念を完全に打ち破り、この賞の本質を突きました。 これこそジェフリー・ロバーツが求めていたことだと確信しています。」と語った。

毎年実施され、国籍に関わらず応募が可能であるこの賞についての詳細はwww.geoffreyrobertsaward.comを参照してほしい。2015年度の募集は2015年の1月から3月になる見通しだ。