ARTICLEワイン記事和訳 本記事は著者であるジャンシス・ロビンソンMWから承諾を得て、
Jancisrobinson.com 掲載の無料記事を翻訳したものです。

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今日、本サイトで実施されてきた素晴らしく献身的な小売店を応援するコンクールに寄せられた117の応募作品の中から選抜した最後の記事を掲載した。さあ、ついに勝者の発表だ。

これは完全に偶然なのだが、最優秀ライターと、最優秀小売店はどちらもアメリカから選ばれた。イギリスと同じくらいアメリカからの応募が多かったことを考えるとそれほど驚くことではないだろう。他の応募はアルゼンチン、カナダ、フランス、イタリア、スイス、ルクセンブルグ、オランダ、アイルランド、香港、シンガポール、オーストラリアからのものだった(ドイツとイベリア半島からの応募はなかった)。アメリカの小売店が特に優れているのか、あるいは自分たちの代わりに顧客に応募記事を書いてもらえるよう仕向けるのが上手いのだろうか?確かなことはここに寄せられた全ての小売店の話は、それが地球上のどこであったとしても本当に心の温まるものばかりだったことである。明らかにワイン愛好家はお気に入りの小売店と特別な関係を構築し、取り上げられた小売店はたゆまぬ努力をしているのだろう。

最初に示した通り、我々の目的は世界で最も優秀な小売店を発掘することであったのだが、たった一人の勝者、すなわち11月23日にロンドンで開催されているバローロ・ナイト(完売)と、その前のザ・クオリティ・チョップ・ハウスでのランチのペアチケットを獲得する店舗を決めるのは至難の業であった。しかし、多数決(他に類を見ない13件もの投稿が寄せられた)で、ニューヨークのチャンバーズ・ストリート・ワインズ(Chambers Street Wines)が勝者となった。

チャンバーズ・ストリート・ワインズのエベン・リリー(Eben Lillie)は受賞の知らせを聞いて次のようにコメントした。「最優秀店に選ばれたことは光栄で、誇らしい気持ちでいっぱいです。お客様の書いた記事をじっくり読み、文字通り心が動かされました(時には目頭が熱くなりました)。私は父(デイヴィッド)とジェイミー・ウルフが2001年にこの店を立ち上げるのを手伝いましたが、それ以来この店は私の人生の多くを占めています。生産者に会い、旅をして、ワインのテイスティングをし、同僚や顧客の方々に教えられ・・・このような経験は私の人生を豊かにしてくれました。当店がお客様にとって他の小売店とは違う大きな意味を持つ店舗であると知ることは格別な経験です。私たちはワインのあるべき場所を提供し、お客様同士がそこで友達になる。ここは特別な場所であり、 買い物をしてくれる人たちが私たちと同じ思いを持ってくれていることを知ることは大きな喜びです。私たちのやってきたことは間違っていなかったのです!」チャンバーズ・ストリート・ワインズに対する多くの熱い想いはここで読むことができる(写真は彼らのチームで、ジェイミーとデイヴィッドはそれぞれ左から3人目と4人目、エベンは前列右)

次点の小売店はイギリスの面目を保ち、南イングランドのプライベート・セラー(Private Cellar)が、きめ細かく技術の高いサービスに10件以上の熱烈な支持を獲得し、小売店舗を持たないにもかかわらず入賞した。素晴らしいワイン小売のモデルの一つを示したと言えるだろう。

040-1.jpgワイン店の選出が困難を極めたとしたら、応募記事の質の高さとそこに込められた心情を思うと、たった一つの応募作品を選ぶことはほとんど不可能と言えた。応募者のみなさんの洗練された文章に我々はどれほど驚かされたか。ワイン・グレープスを20冊ほども用意してプレゼントしなくてはと思うときもあったが、最終的にお気に入りのワインショップをただただ美しく描いた一つの作品を満場一致で選ぶこととなった。バーモント州バーリントンのマーシー・ウォーターフォール(Marcy Waterfall)は地元のワイン店であるデダラス (Dedalus)について暖かく、ユーモアを交えた文を寄せた。彼女がこの素晴らしいワイン店の全ての側面を把握しているからこそ、この素晴らしいストーリーが書けたに違いない。

彼女にはまもなく、最優秀ライターの賞品として、宛名の書かれた我々の学術書、1368種のブドウ品種がその由来と味わいと共に記載されている本が送られる。読者の皆さんは我々が7月末から公開してきた全ての応募作品をここから読むことができる。今回お気に入りのワイン店について時間を割いて記事を書き、応募してくれた全ての方にお礼を申し上げたい。みなさんのような読者をもって我々は非常に幸運である

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