ARTICLEワイン記事和訳 本記事は著者であるジャンシス・ロビンソンMWから承諾を得て、
Jancisrobinson.com 掲載の無料記事を翻訳したものです。

055.jpg(訳注:数多くの店舗名と住所が記載されていますが、ガイドとしてこの情報を利用する際カタカナにする必要はないと思われるので原語のままにしてあります。)

2015年4月8日 当サイトの人気記事である、変化を遂げ続けるロンドンのワイン業界のガイドを更新した。もともと何年も前に書かれたものを何度も更新してきたが、今回最新の情報を反映させた。今日は木曜特別シリーズとしてここに掲載する。クラウド・ソーシングにより多くの会員の皆様(カッコで示す)から寄せられた情報も追加している。今後も新しい場所があればぜひコメントやコンタクト・フォームから情報を寄せていただきたい。

2014年6月19日追記 さらに7軒以上の新たなワインショップの詳細を追加した。

 2014年6月19日 今日の木曜特別シリーズでは、続々と増殖し続けるロンドンのおすすめ新規ワインバーを紹介する。**で囲まれた部分に追加された店舗は熱烈なメンバーであるデイヴ・ステントン(Dave Stenton)によるものである。

2013年10月29日 以下にパープル・ページャー(有料ページ読者)であるトーマス・デ・ウェン(Thomas De Waen)の熱意に押された数件のおすすめと、ロンドン東部の新店、Sager & Wildeを追加した。

2013年4月30日 ロンドンの街は景気の停滞など無関係のように常に進化を続けている。したがって今回は一年のこの時期にロンドンに多く流入してくる訪問者の皆さんに合わせてアップデートした。店舗の推薦をしてくださった皆様には感謝する。また引き続きツイッターやメール(content@jancisrobinon.com)による推薦も歓迎だ。

2011年1月27日 これは何年も前にこのサイトに公開された記事の改訂版である。幸いなことに興味をひくワインバー、ワインレストラン、ワインショップが順調に増えているため、多くの改訂を必要と。今回は最初の記事が大昔に書かれた名残と言える以下の一文を削除した。「時差のある海外から予約するもっとも簡単な方法と思われるためFAX番号も表示している」

=街歩き=

17-2J_B.jpgセントジェームズ・ストリート(St James’s Street)を南へ向かって歩こう。ここを歩く楽しみはセント・ジェームズ宮殿だけではなく、道の両脇に立ち並ぶ様々な紳士クラブを見つけることでもある 。ドアに何の表札もないか、あっても極端に目立たない18世紀の瀟洒な建物とそこからふらりと出てきたり、中の客間で物憂げに新聞を読んでいたりする身なりのいい紳士達を探してみたい。この通りの先で左に折れたポール・モール(Pall Mall)ではそんな人たちをさらに多く見かけることになる。ここの最新情報としては67ポール・モールにワイン愛好家のためのクラブが2015年にオープンしたことだ。この通りを歩いていくと最初に右側にあるのがブルックス(Brooks)だが、これは故ハリー・ワフ(Harry Waugh)とマイケル・ブロードベント(Michael Broadbent)のお気に入りのクラブである。そのほぼ向かいにあるこぎれいな白い建物にはブードゥルズ(Boodle’s)。そして右手61番地のジャスティリーニ&ブルックス(Justerini & Brooks=J&B’s;右写真)はエネルギッシュなワインショップで、よく吟味して集められた素晴らしいお宝に巡り合うことができる。バイヤーであり現在はマネージング・ディレクターでもあるヒュー・ブレア(Hew Blair)はありがたいことにこれ以上ないほど勤勉な男である。

更にストリートを行くと左手の3番地にJ&B’sの長年のライバル、ベリー・ブラザーズ&ラッド(Berry Bros & Rudd)が現れる。彼らはセント・ジェームズのこの一角で非常に多くの不動産を所有している(ちょうどチャールズ皇太子の住むクラレンス・ハウス(Clarence House)とはポール・モールの反対側にあたる)。これこそ、再開発が続き、洗練されたレストランやホテルが軒を連ねるこの通りを散策する本当の目的である。BB&Rは長いこと瀕死の状態でカティー・サーク(Cutty Sark whisky)の資本で何とかしのいでいたが、ここ10年ほどで持ち直し、今やイギリスで最も躍動的なワイン商となっている。ベリー一族とベリー・グリーン(Berry-Greens)はこの通りに知れ渡ったその長い歴史こそが最も際立った彼らの強みであると考えている。ロンドンでの業務を行うための建物が最近オープンし(実際の業務はやや魅力に劣る環境にあるベージングストーク(訳注:ハンプシャーにある町の名前)で行われており、彼らはそこを「ハンプシャーのセラー」と呼んでいる)、店舗へつながる増築部分には展示用のボトルが数多く並べられている。しかし、昔ワインショップだった部分に一歩足を踏み入れると、18世紀ロンドンのワイン商の雰囲気を感じることができる。そこにはいまだに摂政時代に使っていた秤と名士たちの体重の記録(訳注:当時は商品を計量するための秤で顧客の体重を量るサービスを行っていた)が保存されている。現在は上質なスーツをまとった若い社員がコンピュータを使っているが、それらは(若い社員ではなくコンピュータが、である)古びた木製の机にしっかり馴染んでいるのである。その様子をそっと見て回った後は少なくとも2階分ほど下にある最近復元したというセラーを見せてもらうといい。そこでは多くのワインイベントが行われている。「セント・ジェームズのワイン商 (原文)」も参照してほしい。一方、ここでキング・ストリートに入り、最も歴史ある(あるいはそう見せている)ものの一つであるクリスティーズの競売室でワインの販売が行われていないか見に行くのもいいだろう。それにはまずwww.Christies.com をチェックしてほしい。

 それから、ワイン愛好家であればロンドンを訪問するのに外せないのがメイフェアにあるロシア人が所有する宝の山、Hedonism wine shopだろう。詳細は下記を参照されたい

興味のある向きには、ロンドンのシティ、基本的には金融街であるこの地域にどっぷりつかるのもお勧めだ。最近は多くの銀行や金融機関が東部の近代的なカナリー・ワーフ(Canary Wharf)へ移転を続けているが、地下鉄のバンク駅からまばゆい光の中に出ていくとロンドンの中でも独特な地域であるシティの空気を今でも感じることができる。自分が休みの日にビジネスマンたちがイライラしながら走り回っている光景を見るのは、非常にいい気分ではないか。この地区に住んでいる人はほとんどいない(週末は閑散としている)が、近代的なバービカン(シティにはめずらしく住宅開発と文化振興が進んでいる)近くのロンドン博物館を訪れれば歴史に触れることができるだろうし、体力に自信があればロンドン大火記念塔に上って景色を眺めることも可能だ(訳注:塔の内部に311段の階段があって登ることができる)。

17-3Uncorked.jpgほとんどのワイン商は賃貸料の高いシティを出てしまったが、Uncorked(15 Exchange Arcade, Broadgate, London EC2;左写真)は例外である。ここは小規模でシティのワイン愛好家のために経営している店なので、なにか面白いものが見つかるかもしれない。追加情報としてはリバプール・ストリート近くのNew Street Wine Shop(下記参照)に、最近多くみられるようになったエノマティック(訳注:酸化を防いでグラスワインを提供できる業務用のワインサーバー=Enomatic)のワインサーバーが設置されていることだ。

 フリー・ヴィントナー(訳注:特定の地域でワインのみを取り扱うことのできる免許=Free vintner)であるジョン・デイヴィー(John Davy)はシティ一円(とロンドンの中心部)にビクトリア調のDavy’s のワインバーチェーンを所有しており、お値打ちのヴィンテージ・ポートと鋸屑が撒いてある床を目玉にしている(訳注:伝統的に飲食店の床には飲み物をこぼしても片づけやすいよう鋸屑を巻く習慣があった)。Corney & Barrowはシティ地区に数件のモダンなワインバーを展開、面白いワインをグラスで提供しており、一つの亜種について恐ろしいほど詳細に勉強する機会を与えてくれる。ただし、上記のバーに行くなら男性ホルモン耐性が高くないといけない。Sweetingsはシティのレストランの典型だろう。

ロンドンのこの地域に滞在するのであれば、サザーク橋(Southwark Bridge)でテムズ川を渡ると、右手に現在はヴィントナーズ社のオフィスとなっているヴィントナーズ・ホール(Vintners’ Hall)を見ることができる。ここは昔多くのワインが川から荷揚げされていた場所である。テムズ川を超えて左に曲がり、川の南岸沿いに歩いてフィナンシャル・タイムズの本社を過ぎるとロンドンのやや密度の薄い観光客向けワインアトラクションであるヴィノポリス(Vinopolis)が見えてくる。ただし、ここは2015年末に閉鎖される予定なので急いだ方がいい。近くにはNeal’s Yard DairyBrindisa’s tapas bar、活気のあるバラ・マーケット(Borough Market)があり、ヴィノポリスの中にはイギリス最大のメールオーダー・ワインショップで今や国際的に手を広げているレイスウェイト(Laithwaite)もある。

=ワインショップ=

もしワインよりもワインアクセサリーに興味があるならメリルボーン(Marylebone)にあるEurocave UK (以前はAround Wineという名だった)がワイン愛好家にとってのおもちゃ屋さんと言えるだろう。フォイルカッターからユーロカーヴのワイン保管システムまで何でも揃っている。

 ここに紹介する通り、多くのワイン商がイギリスにはあるが、最もよいワイン商たちは大都市にかわいらしいブティックを持つよりも国内に散らばり、郊外で紙や電子のワインリストを取り扱うことが増えている。ただ、最近はまた前者が増えている傾向にあるようで、うれしい限りだ。

The 10 Cases (Endell St, Covent Garden)は人気のビストロのすぐ隣にワインカーヴ(Cave à Vin)があり、持ち帰りはもちろんエノマティックをつかったテイスティングや、ショップ内でシャルキュトリやチーズと合わせてグラス、カラフェ、ボトルで楽しむこともできる。

 Albion Wines(56 Lambs Conduit Street、地下鉄Russell St駅近く)は30年以上安定した業績で消費者や業界に興味深いセレクションを提供している。店内でのテイスティング用にはエノマティックを使用。

Bottle Apostle(Victoria Park と Crouch EndおよびClapham )エノマティックを使用した試飲が可能。

Borough Wines  2002年にオープンしたばかりだがすでにバラ・マーケット(Borough market)、ハックニー(Hackney)、ダルストン(Dalston)、クラーケンウェル(Clerkenwell)、 ケンサル・ライズ(Kensal Rise)、ストック・ニューイントン(Stoke Newington)に6軒のワインショップと2軒のレストランを所有し、さらに勢力を拡大中である。フランス、イタリア、スペイン、ポルトガルの王道ではないワインに強く、ボトルではなく樽から直接販売することで知られている。

City Beverage Company (Old Street) やや高い(この表現はCBCのスチュアート・エドワーズから強い抗議を受けたが)が 優れた品揃えであり、さらにビールの品揃えもよい。

D Vine Cellars (写真上左、74 Landor Rd, North Clapham)エノマティックを使って常に16種のテイスティングワインをャルキュトリとチーズと共に用意、彼らの「ニッチで倫理的かつ職人気質」なワインセレクションをじっくり吟味することができる。

Dynamic Vines この(主に)ビオデナミワインのインポーターはモルトビー・ストリート(およびその周辺エリア)の人気上昇にあわせて土曜日に一般向け直接販売を行っている。(Dave Stenton)

The Good Wine Shop はキュー(Kew)とチズウィック(Chiswick)、さらに最新の店舗がイーシャー(Esher;ロンドンではないが)に あり、小規模生産者のワインを販売している。

Handford Wines(105 Old Brompton Road, London SW7;サウス・ケンにあるクリスティーズのすぐそば) 小さい個人商店でその在庫は情熱と好奇心に満ちている。特にブルゴーニュ、南フランス、南アフリカ、ポルトガルのテーブルワインに強い。

Haynes Hanson & Clark(Elystan Street, Chelsea Green, SW3すぐそば) マスター・オブ・ワインであるアンソニー・ハンソンが購買コンサルタントを務める。ブルゴーニュが得意。

Hedonism (3-7 Davies Street, London W1) 非常に贅沢なロンドン中心部のワインショップ。ロシア人の税金亡命者がオーナーで、特にイケムやシンカノンなどに深い興味のある人にとっては宝の山である。価格も想像するほどべらぼうに高いわけではなく、最上のワインをグラスで楽しむことができ、ワイン愛好家の多くは何時間もここで過ごせるだろう。

Highbury Vintners (Highbury) ワインのセレクションは夢のようだが、地ビールの品揃えも幅広い

Huntsworth Wine Co ノッティンヒルにあるLea & Sandemaのほぼ向かい側。ブルゴーニュとボルドーに強いが他の地域のワインも若干取り扱っている。

Jeroboams なかなかの品揃えでロンドン中心部に点在する上質なワインショップ。

 Lea & Sandeman(301 Fulham Road, London SW10, 211 Kensington Church Street, London W8, 地下鉄ノッティングヒルゲート駅近く。 51 Barnes High Street, London SW13、Chiswick W4 at 167 Chiswick High Road)華やかでモダンなショップには丁寧に選ばれた幅広いワインが置かれている。特にトスカーナ、ローヌ、ブルゴーニュ、南西地方に強い。

 Market Row Wines(Brixton) 元オッドビンズ(Oddbins)のデイヴィッド・シンプソン(David Simpson)が経営する、小規模生産者の作る8~12ポンドの価格帯に注力しているショップ。

Newcomer wines ショアディッチのボックスパーク(BOXPARK)のポップアップ・モール(pop-up mall)にあるオーストリアワインだけの店だ。

New Street Wine Shop リバプール・ストリートに近く、D&Dロンドンが設立した(下記の Pont de la Tourも参照のこと)。ワインの品ぞろえはエキセントリックで、持ち帰りも、リーズナブルな抜栓料(私が前回訪ねた時には8ポンドだった)でその場で楽しむこともできる。ワインリストは小さなものだが頻繁に更新され、主にやや王道を外れたようなワインを中心にセレクトしてあり(テイスティング・サイズまたは大きなグラスで提供される)、ちょっとしたおつまみもある。リラックスした空気でサービスが良い。

Noble Fine Liquorブロードウェイ・マーケットの新店で (259 Hackney Roadから歩いてすぐ)、二人の若いニュージーランド人が経営。ロワールが珍しいブルゴーニュやニュージーランドのピラミッド・ヴァレーと並んで陳列されている。また彼らはイタリアの小さなインポーターであるトゥット・ワインズ(Tutto Wines)と親しく、アール・ペペ(Ar.Pe.Pe)の素晴らしいネッビオーロの在庫はイギリスでも指折りの存在だろう。

P. Franco 姉妹店はNoble Fine Liquorで、ロワー・クラプトン・ロード(Lower Clapton Road)にオープンした。(約2年ほど前まで近所に住んでいた頃と比べ見つけにくくなっている。土曜の夜に歩いてみたら少なくとも1ダースの新規店舗があった)ワインショップではあるがグラスでの販売免許も持っているため夜はバーに変身する。(Dave Stenton)

Park + Bridge (73 Churchfield Road, Acton) ビオデナミ、有機栽培、最小限しか手をかけていないワインに特化している。

Philglas & Swiggot, 手摘みワインに特化した小さな店舗の集まりで、オーストラリアワイン専門ではないが非常に多くの品揃えをもつ。最近ジャスティン・ノック(Justin Knock)MWとそのビジネス・パートナーダミアン・ジャックマン(Damien Jackman)が買い取った。

Planet of the Grapes 大英博物館のすぐ南にある非常に個性的な店。しかもボウ・レーン(Bow Lane;レストラン併設)とリーデンホール・マーケット(Leadenhall Market)にさらに2軒のワインバーがある。どちらの店舗も持ち帰り用の購入の他に10ポンドの抜栓料でその場で飲むことができる。パープル・ページャーのヘンリー・ジェフリーズ(Henry Jeffreys)によると「ニュー・オックスフォード・ストリートのこの店には大きな木製のテーブルがあって、試飲しながら長い時間を過ごせる(ワイン商になりたくなるよ)。十分な時間を過ごしたなと思ったら今度はブラインドでグラスを渡されて意見を聞かれるんだ。」とのこと。

Pont de la Tour (Shad Thames, Butlers Wharf, London SE1) 在庫の充実したワインンストアで、タワー・ブリッジ南側にある同名のコンラン・レストラン(Conran restaurant)に付属している。素晴らしく、しかも予想を裏切る品揃えだが、サー・テレンス(Sir Terence;コンランの経営者)は強気の価格設定をしている。(詳細は D&D のウェブサイトを参照のこと)

Prohibition Wines マスウェル・ヒル(Muswell Hill)にできた新しい店で、ワインに情熱を注ぐ若いカップルが経営している。彼女は弁護士だと思うな、たぶん。

Roberson (Kensington High Street, London W14) 大きくてモダンで広々としたショップは品揃えも豊富。ケンジントン・ハイ・ストリート(Kensington High Street)のオリンピア(Olympia)側にある。シーグレイブ・ロード(Seagrave Road; ショップのすぐ西にある地下鉄ウェスト・ブロンプトン(West Brompton)駅から2分) にある本社の地下には彼らのアーバン・ワイナリー(訳注:最近流行の都市部でワインを醸造するワイナリー)があり、ロンドン初の「ロンドン・クリュ」である。

The Sampler イズリントン(Islington)のアッパー・ストリート(Upper Street)と地下鉄サウス・ケンジントン駅近くに1軒ずつある非常に使い勝手のいいショップ。非常に高品質のワインをローテーションで揃え、25mlずつ試飲させてくれる。またイギリスで最も幅広い上質な味わいの品ぞろえが評判のワインショップの一つでもある。

Theatre of Wine ロンドン北部のグリーンウィッチ(Greenwich)とタフネル・パーク(Tufnell Park)にあり、非常に情熱的な店である(左写真)。

Vagabond Wines, (Fulham、Charlotte Street) ここでもエノマティックが使われている(そして他の店よりも安い。私が前回訪ねたとき、Alion2005が2ポンドでテイスティングできた)。

Victualler は自然派、オーガニック、ビオデナミに特化したワインを扱い、ワッピング(Wapping)にある。

Vin Vixen は「ハックニーの中心部にあるアーバン・ワイナリー」で職人のワイン、チーズ、オリーブを揃え、オリーブオイルは瓶を持参すればそこに詰めてくれる。

095.jpgThe Winemakers Club は2014年開店でホルボーン・バイアダクト(Holborn Viaduct)のアーチの下にある同名のインポータの店舗である。 ワインはエキセントリックな品揃えで、持ち帰ることもできるし、おしゃれなワインバーで楽しむこともできる。

The Wine Tasting Shopはバルハム(Balham)にあり、「非常に愛嬌のある」ジュリア・マイケルが経営している。とはパープル・ページャーでワインメーカーでもあるジョナサン・ヘスフォード(Jonathan Hesford)の談だ。

The Wine Pantry小さなこの店(とワインバー)はイングランド、ウェールズ、コーンウォールのワインだけを販売しており、バラ・マーケットにある。

The Winery (Clifton Road, London W9)オーナーのデヴィッド・モーション(David Motion)が自ら訪問した世界中のワイン産地から一つ一つ吟味した品揃え。辛口のドイツワインが得意。

Zelas はハイべリー(Highbury )にあるワインショップでブルゴーニュの品ぞろえはこの国で最も良い。情報もきめ細かく、世界中のナチュラルワインもそろえている。

他にも紹介したいものがこの町のいたるところにたくさんある。もしあなたが本物のワインオタク、あるいはワインのプロだったら、イギリス人は普段どこでワインを買っているのか知りたいと思うだろう。イギリスにあるワインの約70%は大型スーパーで購入することができる。テスコ、センズベリーズ、アスダ、モリソンズ、生協、あるいは(これらより少しましな)マークス&スペンサーやウェイトローズである。しかし、最近これらはディスカウント・スーパーであるアルディ(Aldi)やリドル(Lidl)に押され気味だ。店舗によって品揃えは大きく異なる。カナリー・ワーフやハルキン・ストリート(Halkin Street)のウェイトローズやグロスター・ロード(Gloucester Road)のセンズベリーズ、コーンウェル・ロード(Cromwell Road)にほど近いテスコなどの旗艦店は人気が高い。もしホテルではなくネイティブの所に滞在するなら、近くのスーパーに案内してもらうといい。このレベルでのワインビジネスの「今」を目にすることができる。Majestic は非常に成功している大規模ワインショップで、その旗艦店はSt John’s Wood, NW8にある。

=ワインバー=

ワインに関係なくロンドンのおすすめレストランを知りたい場合はニックが毎週公開するレポートを参照してほしい。あるいはサーチボックスに「London restaurants」と入力、ドロップダウンメニューから「Rest of site 」を選択してもよい。その他の情報はドロップ・ダウンからみていただくことができる。また2011 guide to London wine bars」も参照してほしい。ワインバーの環境はここ数年で驚くほどよくなってきている。以下にお気に入りの一覧を示す。文末にはスパニッシュ・スタイルのタパス・バーも添えた。

28-50は自分たちを「ワイン・ワークショップ&キッチン」と名乗り、ワインバーともレストランとも分類できないが、どちらもうまく運営されている。フランス人のソムリエ、グザヴィエ・ルーセット(Xavier Rousset)がTexture(下記参照)出身の彼のビジネス・パートナーと共に設立し、最初はフェッター・レーンEC4にあったが現在はメイフェア(リージェント・ストリートからすぐ)とメアリルボーンに上品でカジュアル、心地よい佇まいの空間を提供している。素晴らしいグラスワイン(たくさんの種類を楽しむのに最適は少量ずつ設定されている)の品揃えは30を超え、「収集家のリスト」という主にオールド・ヴィンテージの上質なワインを非常に良心的な価格で提供しているのも面白い。

10 Greek Street と 8 Hoxton Square ソーホー発祥だけど新しい方のホクストン店がワインに注力していて、利益の上乗せ分がロンドンの平均よりはるかに低い。

おそらく最も新しく最も面白く、最もにぎやかなワインバーはハックニー・ロードにあるSager & Wilde だろう。 もう1つ喜んで付け加えたいのがワインレストランである28-50 で、彼らは自分たちを「キッチン付きワイン・ワークショップ」と称している。1軒目の店舗はフリート・ストリート(Fleet Street)からすぐの所に、2軒目はメリルボーンに、3軒目はリージェント・ストリート(Regent Street)からすぐの所にある。おしゃれなナイツブリッジ(Knightsbridge)なら、マンダリンオリエンタルホテルの地下にロンドン版Bar Bouludがある。ここでは主にフランスの上質なワインがオンリストされていて、よいワインがグラスで楽しめる。

デイヴ・ステントンはさらにソーホーのAndrew Edmundsを推薦してくれた。「先週そこで食事をしたんだけど、希少なブルゴーニュやボルドーを小売価格とほとんど変わらない(あるいはそれより安い)値段で飲ませるんだよ」。

Antidote 比較的歴史のあるワインバーだが最近人々の注目を避けているようだ。しかしミカエル・ジョンソン(Mikael Jonnson)― あのHedoneの シェフである彼だ―が今はここのメニューを監修しており、非常に面白い。

Bar Bouludは品のいいナイツブリッジのマンダリン・オリエンタル・ホテルの地下にあり、上質でフランスワイン主体のリストがあり、いつも何かしら特別なワインがグラスで飲めるようになっている。

Brawn はコロンビア・ロードにありTerroirs の姉妹店で、ナチュラル・ワインに特化している。

Cork & Bottle はワインバーの老舗の一つで、ロンドンの観光客が集まるレスター・スクエアにある。

Ducksoup Rawduckソーホーとイースト・ロンドンに店舗を構えるが、注力しているのはナチュラル・ワインである(また経験上、グラスを注文する前に試飲できるか聞いてみて損はない)。

The English Wine & Spirit Coはリバプール駅の角を曲がってすぐの8 Devonshire Rowにあり、バラ・マーケットにあるThe Wine Pantry出身の情熱的な愛国家、ジュリア・スタフォード(Julia Stafford)が経営し、イギリスワインだけ(スティルおよびスパークリング)、イギリスのスピリッツ、その他のイギリス産飲料を販売している。ボトルで持ち帰ることもできる。

Fortnum & Mason にはSelfridges 同様ワインバーがあり、ワインショップも併設している。

Gordons この、おそらくロンドンで最古のワインバーは人気の高いカーヴ・スタイルの佇まいで、ほとんどいつも混雑しており、最近はその横を通る小道まで店舗を拡張した。

ベスナル・グリーンにあるMission はSager & Wilde (下記参照)のセカンド・ベンチャーで、ややフォーマルなレストランだが自慢のワイン・セレクションは変わらず、カリフォルニア・ワインに強く力を入れている。

うれしいことに、Primeurが僕の住んでいるハイブリー(Highbury)の近くにできたんだ。ここは本当に美しい空間だよ (以前は70年代の自動車修理店で、その名残が見て取れる)。多いときは週に3回もここで食事をすることがある。最近は立ち飲みばかりしているけどね。短めのリスト(ただ、どんどん増えている)にはイタリアとアルザスが多いね(共同経営者の1人がアルザス出身なんだ)。たぶんニックの気に入ると思う(Dave Stenton)

095-1.jpgThe Quality Chop HouseはFarringdon, EC1のエクスマウス・マーケットからすぐにあり、フレンドリーな(写真)ワインバーであり、下記のダイニング・ルームも併設している。

 The Remedyはフィッツロビア(Fitzrovia)にある小さなワインバーで、じつはここ、マスター・オブ・ワイン協会事務局の裏にあるんだよね。長いことやっている店だけど、ひっそりと経営されている感じ。元Terroirsだった人が経営している。(Dave Stenton)

 Sager & Wildeはハックニー・ロードにあり、比較的新しい、最も新しく、最もにぎわっているワインバーの一つで、コストパフォーマンスの高いワインの品揃えで有名だ。

Soif は南ロンドンにあるTerroirs の系列店だ。

Shampers はGordonsや Cork & Bottle同様、ロンドンの古き佳きワインバー で大変愛されており、ソーホーに西の端という便利な立地だ。

Selfridge が最近改装したワインバーはオックスフォード・ストリートに行くならぜひチェックしたい店だ。

Trangallán。ニュイーントン・グリーン(Newington Green)のPrimeur から歩いてすぐの所にある、地元民である僕のもう一つのお気に入り。(ただし、新しい店ではなくて数年前からある)。オーナーはガリシア人で、ワインリスト(Imbibe誌の2013年「スペインワインリスト」大賞に選ばれた)にはスペイン北西部のワインが沢山と、イタリアやジュラの珍しいものも載っている。シェリーもすばらしいよ。 (Dave Stenton)

Terroirsはトラファルガー広場とチャリング・クロスの間にあり、姉妹店であるSoif、Brawn、Toastedなどと共にインポータであるCaves de Pyrèneと強い関連があり、ナチュラルワイン運動にも関わっている。

Toasted 「Terroir系列の再新店(BrawnSoif同様)だけど(たぶん)販売免許を持っている唯一の店舗なんだ。特に月曜に行くのがおススメ。店舗で小売価格で飲めるワインをローテーションで提供しているからね。」(Dave Stenton)

ロワー・クラプトン・ロードの近くの真新しいワインバー&デリ、Verdenはつい最近オープンしたばかりだ。この店には多様かつ格安な価格のグラスワインリストとそれに合う肉料理やチーズが盛りだくさんだ。(たまたま僕は土曜日にNoble P. Franco 、Verdenを訪問したんだけど、彼らのリストに一番多く乗っていたのがジュラだったことには驚いたよ。)

Vinoteca は盛況なワインと食事を楽しめる店で、支店がFarringdon、Marylebone、Soho、ChiswickおよびKing’s Crossにある。

カナリー・ワーフのウェイトローズでも店舗で購入したワインを良心的な抜栓料だけで飲ませてくれる。

ロンドンには何件かシェリー&タパスのバーがある。例えばBarrafina (いつも外まで行列ができているようだ)、 Brindisa (支店も何店舗かある), DehesaMeson Don FelipeMorito (下記に紹介するエクスマウス・マーケット(Exmouth Market)にあるMoroの支店), The Opera Tavern、カナリー・ワーフのキングス・クロス寄りにあるPepitoEl PirataSalt yardなどが挙げられる。ツイッターではCapote y Torosについて「ロンドンで一番のシェリー・バーと言ってもいい」とつぶやかれていた。また別の人はフィッツロビア(Fitzrovia)にあるDrakes Tabancoをツイートしていた。どの店も長いこと続いて欲しいものだ。

 =ロンドンおよびその周辺のワインレストラン=

息子のウィル・ランダー(Will Lander )は以前リストにあったビクトリア時代の労働者の台所、The Quality Chop Houseをファーリントン・ロード(Farringdon Road)に再オープンさせた。良心的な価格の本当に面白いワインと素材を生かしたイギリス料理を用意し、ワインバーも備えている。私がここを推薦するのはもちろんだが、尊敬を集める第三者からもお褒めの言葉を頂いている(最近The World of Fine Wine誌初のヨーロッパのベスト・ショート・ワイン・リストを受賞した)。同様に好感をもたれている店がオックスフォード・サーカスのすぐ北、グレート・ポートランドにあるPortlandだ。食べ物はやや軽いがガイドブックには「モダン・ヨーロピアン」と紹介されている。

ロンドン橋の鉄橋の騒音の下にある40 Maltby Streetはレストランというよりは食事も楽しめるワインバーといったところか。オーダーが入ってから小さなキッチンで調理される小皿料理は非常に美味しく、ワインリストは自然派やビオデナミ生産者に注目したとびぬけた名品ばかりである。小売価格でボトルを持ち帰ることもでき、上乗せされている利益は非常に少ない。

ソーホーには素晴らしいArbutusがある。ここはグラスやカラフェですべてのワインを提供する。またハノーバー・スクエア(Hanover Square)のすぐ南、セント・ジョージ・ストリートにある姉妹店Wild Honeyやウィリアム・4世・ストリート(William IV Street)のTerroirs のほぼ向かい側にあるLes Deux Salonsも挙げておきたい。

St John,(26 St John Street, London EC1)はインポーターも兼ねている。今や多くのバーやレストランがひしめく歴史あるスミスフィールド・ミート・マーケットの近くにある世界的に有名で最少、「最肉」、そしてとてもイギリスらしい店である。「頭の先からつま先まで」が彼らのモットーである。ニックのお気に入りの一つだが、ベジタリアンには辛い店だろう。 フランスワインのリストはとても面白いが、グラスはあまり揃っていない。このSt John 系列にはリバプール・ストリート駅近く、Spitalfieldsのより普通なレストランSt John Bread & Wine もある。

スミスフィールド周辺を散策するのは断然お勧めだ。フレンチを食べたいと思ったら小さなポーションのフォアグラや地元のソーセージなどを提供するClub Gascon (57 West Smithfield)がおすすめだ。フランス南西地方のワインが面白い。マルシヤックを飲みたい人はぜひ。

グルメな人にチェックしてほしい店としてはNigel Platt-MartinグループにはThe Square(London W1)、Chez Bruce (Wandsworth)、The Glasshouse(Kew) La Trompette(Chiswick) やThe Ledbury (Notting Hill) があるが、すばらしいワインリストとよく教育されたスタッフ、素晴らしく美味しい料理と良心的な価格の素晴らしいワインが楽しめる(他の店に行ったら値段を見てその強欲っぷりに叫びたくなるに違いない)。

テート・ブリテンにあるレストランも料理が素晴らしいとは言えないにしても、そのワインリストの目の付け所と公正な価格で有名である。テーブルセッティングもすばらしいし、ターナー鑑賞の途中で立ち寄る、なんてことも可能だ

ワイン愛好家にオススメな中華といえばピムリコ(Pimlico)にあるHunanで、最高のワインが底値で並ぶワインリストがある。またHakkasanの各支店も素晴らしいワイン(と日本酒)のリストがある。

マーブル・アーチの近くにあるTexture はシャンパンバーを併設するモダンヨーロッパ調の店で現在拡大中の28-50 グループ(上述)の傘下であり、紹介する価値がある。ブリュワー・ストリート(Brewer St)にある MASH は広々とした店で膨大なワインリストはアメリカ中心(ただし専門ではない)。上乗せ価格は非常に少なく、抜栓料は15ポンドで日曜には無料になる。

ウォータールー近くのRSJ は古くからあるロワールのスペシャリストだし、キングス・ロードを下ったチェルシーのMedlar は比較的新しい繊細な料理とワインのセンスがある店だ。

ロンドンのほとんどの物価は非常に高い。ガストロパブの流行で古いパブの建物はカジュアルなレストランに変りつつあり、コストパフォーマンスのいい食事にはもってこいだろう。 www.zagat.com のパブダイニングセクションで詳細を見てほしい。ロンドンにいる間にハーデンズ(Hardens)誌やタイウムアウト誌(Time Out)のレストランガイドを購入してもよいだろう。

それから低予算で楽しめるものと言えばインド料理だろう。ロンドンには数多くのインド料理店があり、ほとんどのものが外国人(もちろんインド人、バングラディッシュ人とパキスタン人は除く)にノベルティを提供している。宿泊先にお勧めを聞くといい。ほとんどのインド料理店は低価格で興味深い物からそこそこの味わいを楽しめるレベルまである。ものすごく美味しい、となると値段は高くなるが、アルベマール・ストリート(Albemarle Street)のGymkhanaなどを挙げておこう。

もしも「ふつうじゃない」ものを体験する予算と時間があるなら(信念と本物の知識に基づいてちょっと変わった組み合わせが出来上がる)、ブレイのハイストリートにあるThe Fat Duckをお勧めしたい (tel +44 1628 580333, fax +44 1628 776188) 。電車でMaidenhead まで行ってからタクシーを利用。ヘストン・ブルメンタール(Heston Blumenthal)の作る料理はスペインのエル・ブジのフェラン・アドリアが作るそれに似ていなくもないが、彼はそこで修行したわけではないはずだ。少なくともごく最近までは。素晴らしいワインリストも備えている。 もう1軒ロンドン西部で訪れて欲しいのは(グレート・ベドウィンまでレディング経由の電車で向かい、タクシーを利用)リトル・ベドウィンにあるHarrow Innで、シェフで経営者のロジャー・ジョンズ(Roger Jones)と妻のスーが切り盛りしている。ワインへの情熱を持ち、ワインリストがすばらしい。特にオーストラリアとヴィーニャ・トンドニア(Viña Tondonia)に代表されるような古酒に重点を置いている。

資金はたくさん用意してくることをお勧めする。ロンドンは安い食べ物の選択肢が非常に少ないからだ。マークス&スペンサーやプレタマンジェ(Prêt à Manger)チェーン はサンドイッチなどの軽食にはベストだろうし、ニックのレストラン記事に安いお店や新店情報が載っているので見てほしい。

 食費が高いことを考えれば考えるほど、よくこの町で暮らしているなと思わずにいられない。

原文